GA4 エンゲージメント分析で顧客理解を深める

2024年9月27日

Googleアナリティクス4(GA4)では、セッションがユーザーにとって有益だったかどうかを判断するために、エンゲージメント指標が重要な役割を果たします。エンゲージメント指標には、「エンゲージがあったセッション」と「エンゲージメント時間」の2つがあります。

ユーザーがサイトに積極的に関与したセッション

Google Analytics 4(GA4)では、ウェブサイトへの訪問者がサイトにどれほど関心を抱いたのかを判断する際に、「エンゲージメント」という概念を使用します。
具体的には、以下のいずれかの条件に合致した場合、そのセッションは「エンゲージメントがあった」とみなされます。

・セッション時間が10秒以上だった場合
・コンバージョンイベントが発生した場合
・2ページ以上閲覧された場合

セッション時間の10秒という値は変更が可能です。しかし、他の条件、つまりコンバージョンイベントやページ閲覧数の条件は変更できません。
例えば、「2ページ以上閲覧はエンゲージメントの条件から外したい」といったカスタマイズは、GA4では現在対応していません。そのため、上記3つの条件のうちいずれか1つでも満たされれば、セッションはエンゲージメントがあったと判定されます。
これらの条件に該当したセッションの数を「エンゲージメントがあったセッション数」と呼び、全セッションに対するその割合を「エンゲージメント率」と言います。エンゲージメント率は、エンゲージメントがあったセッション数を全セッション数で割って計算されます。

サイト滞在時間とユーザーの関与度を示す指標

GA4におけるエンゲージメント時間は、ユーザーがサイトやアプリを実際に使用していた時間の合計を表します。GA4では、ユーザーがサイト内でさまざまなイベントを発生させると、その時間(前のイベントからの経過時間)をカウントします。
このカウントは、以下のいずれかのタイミングでGA4へ送信されます。

・ユーザーがアプリの画面をバックグラウンドに移動したとき
・フォーカス状態のウェブページからユーザーが離れたとき
・ユーザーがアプリの画面またはウェブページから離れたとき(例:タブ、ウィンドウ、アプリを閉じる、別の画面またはページに移動する)
・サイトまたはアプリで問題が発生する

従来のUniversal Analytics(UA)では、滞在時間を使ってサイトが見られていた時間を計っていましたが、エンゲージメント時間は、ユーザーがサイトやアプリを”実際に”見ていた時間を表す指標です。
例えば、ユーザーがサイトを見ている途中で、別のサイトを別のタブで見ていたとします。ページ自体はタブに残ったままですが、ユーザーは実際にサイトを見ていません。この間の「滞在時間」はカウントされ続けますが、「エンゲージメント時間」はカウントをストップします。
UAの滞在時間とGA4のエンゲージメント時間を比較すると、概ねGA4の方が短くなります。これは、エンゲージメント時間の方が、より実態に近いユーザーの閲覧時間を表している指標であるためです。

エンゲージメント指標の解釈と注意点

ユーザーがサイト内を移動したり、サイト外に移動したりするときに計測される「エンゲージメントがあったセッション」とは、全く異なる条件に基づいてカウントされます。
例えば、サイトを開いてページの一番下までスクロールし、5秒後にサイトを閉じた場合、エンゲージメントのあったセッションとしてはカウントされませんが、エンゲージメント時間は5秒として計測されます。
同じ「エンゲージメント」という単語が使われているため、関連しているように思えるかもしれませんが、計測される条件が異なることを覚えておくことが重要です。

エンゲージメント分析が重要な理由

従来のアクセス解析ツールでは、ウェブサイトを訪れたユーザーを単に「サイトに来た」という視点で捉えていました。そのため、ユーザーが実際にサイトのコンテンツに興味を持ってくれたのか、それとも短時間でサイトを閉じてしまったのかを判断することが難しく、ユーザーの関心の度合いを正確に把握することができませんでした。
例えば、ウェブメディアなどのコンテンツ配信サイトでは、ユーザーは目的のコンテンツを1ページだけ閲覧し、満足してサイトを離れる場合があります。このような場合、ユーザーは目的を達成して満足しているにもかかわらず、直帰率は高くなってしまいます。従来のアクセス解析ツールでは、ユーザーがコンテンツをきちんと読んだのかを判断するために、スクロール率などを別途計測する必要がありました。
GA4のエンゲージメントは、このような課題を解決するために導入された指標です。GA4では、ユーザーがサイトのコンテンツとどのようにインタラクションしているかを詳細に分析することで、ユーザーの関心の度合いをより正確に評価することができます。これにより、ユーザーがコンテンツにどの程度関与したかを把握し、ユーザーとサイトの親和性をより深く理解することができます。

エンゲージメントデータ活用方法と効果的な施策

GA4で導入されたエンゲージメントは、ツール側で定義された指標ではありますが、「サイトに興味を持ってくれたか」を判断するのに便利な指標です。サイトへの訪問者が短時間で「このサイトは自分に合わない」と判断し離脱してしまう場合、そのサイトがユーザーのニーズに合致していない可能性があります。そのため、ターゲット層に合っていないユーザーを大量に誘導しているか、サイトで必要な情報が適切に伝わっていないかをチェックする必要があります。
サイトを長時間閲覧しているにもかかわらずコンバージョンに至らないユーザーは、サイトに興味を持っているものの、最後の決定打が足りない可能性があります。このようなユーザーに対しては、キャンペーン広告などを活用し、接触機会を増やすことでコンバージョンに繋がるかもしれません。
逆に、サイトに何度も訪れているにも関わらず、エンゲージメントのないセッションばかりという場合、「サイトには誘導できているものの、興味を持ってもらうことができていない」という機会損失が生じています。このようなユーザーがサイトに何を求めて訪れているのかを深く分析し、適切なコンテンツを届けるようなコミュニケーション戦略を検討することも有効です。
近年、オーディエンス作成ツールに新しい指標「エンゲージメントの少ないセッション」が追加されました。この指標を活用することで、「7日間以内に3回以上エンゲージメントの少ないセッションを発生させたユーザー」といった設定が可能になります。

エンゲージメント分析で顧客体験向上を

ウェブサイトのエンゲージメント分析は、ユーザー行動を理解し、より良い顧客体験を提供するための重要な要素です。サイト滞在時間やページ閲覧数、コンバージョン率といったデータを分析することで、ユーザーの興味関心を把握し、より魅力的なコンテンツやサービスを開発することができます。エンゲージメント分析を活用することで、ユーザーの満足度を高め、ウェブサイトの成功に繋げることが可能です。

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Posted by admin_bwjax